QOL(Quality of Life )勉強会 アート思考のものづくり

開催日時 2021 年 9 月 30 日(木) 15:00~16:30

(Zoom でのオンライン開催です。入室は 14:50 からとなります)


ニーズを越えた感動商品をどのようにつくり出すか

「モノからコトへ」と言われる中で、デザイン思考などの手法が取りざたされています。
その方向性は重要ですが、日本企業が世界を再びリードするためには、ユーザー満足を目標とするデザイン思考を超えて、ユーザーの想定を超えた感動をもたらすものづくりを目指すべきです。

延岡先生は、その実現の方法として、自ら強く信じる哲学や信念を表現する「アート思考」を提唱されています。

本講演では、 SEDA モデル (Science, Engneering , Design, Art )を踏まえデザイン思考との対比を通じてアート思考についてご説明いただきます。また、消費財と生産財におけるアート思考の違いを事例を通じてお話いただけるためより理解が深まる内容となっています。

※詳しくはこちらごご確認ください。

「先進イマジネーションロボットの事業化ワークショップ」

原則オンライン(3日間)

-市場導入仕立ての先進癒やしロボットをきっかけに新たな用途と商品とビジネスの開発-


 ユニークな技術や商品であっても、用途を開発しビジネスにつなげていくことは非常に難しい課題です。本ワークショップは、市場導入仕立てで先進技術を用いた商品を題材(出発点)に、用途、商品開発とビジネス開発を学ぶ実践的ワークショップです。ワークショップ終了後、新しい用途において事業パートナーとしてビジネスに関わっていただくことも想定しています。

 用途開発のポイントは、目的(ニーズ)と機能(技術)との組み合わせを見つけることです。そのためには、目的と機能をやや広めに設定し、機能を付加したり削除しながら最適な組み合わせを見つけていくというプロセスが重要となります。単純なアイデア出しでは、ビジネスにつながるような用途開発の確率は高まりません。なお、本ワークショップでは、目的に関するキーワードを「イマジネーション(想像力)」としています。想像は癒やしにつながります。想像力を養うことは子供教育において重要なテーマです。また、想像力はエンジニアや企画者にとっても極めて重要な能力です。

 このように人にとって価値のある「イマジネーション」と「ロボット」というデバイスを組み合わせることにより新たな市場創出を目指すのが本ワークショップの狙いです。なお、ロボットをIoTデバイスと捉え、得られた情報を顧客価値に変えていくなど応用用途も含めた検討をしていきます。

 参加企業には新商品ロボットを1台進呈します。実際に触れたり使ったりすることでイマジネーションを膨らませていただきます。


※詳細はパンフレットをご覧ください。

本業周辺で変化を捉えた新規事業テーマを探すオンラインセミナー 

 新規事業を進めていくには、顧客にとって価値あるテーマを見つけることに加え、社内にて事業化を承認してもらうことが必要になります。では、社内で承認されやすいテーマとはどのようなものでしょうか。その特徴は2つあります。ひとつは「本業周辺のテーマであること」、そしてもうひとつは「変化というチャンスを捉えていること」です。ところが、「本業周辺は既に調べ尽くした」という意見も多く、そのため手詰まり感を感じている企業は多いようです。
 一方、世の中の新しい変化やトレンドを追いかけた場合のテーマは自社との相性がよくないものが多く、こちらのアプローチも手詰まり感があるようです。
 このような手詰まり感を脱する方法として弊社が提案するのが、「本業周辺分野を抽象的に定義する」ということです。ここでは、本業周辺を下図のD,G,Hの領域と捉えていますが、このD、G、Hの領域を定義することは意外に難しい課題です。そのため一般的には、変化に沿ったアイデア発案やテーマ探しを行い、その中からD,G,Hの領域に当てはまるテーマを選定するという進め方が行われています。しかし、この進め方では、本業周辺分野のごく一部しか調査検討しないことになります。
 本セミナーは本業周辺の領域を先ずは定義し、その領域の変化等を徹底的に調査分析した上で、顧客にとって価値あるテーマを発案するというプロセスを解説すると共に、進め方のノウハウを解説するものです。

<<<本セミナーの特徴>>>
新規事業テーマの評価者の考え方を考慮に入れた進め方を解説します。
もっとも上流の工程であるテーマ探索と企画立案のプロセスに焦点を当てた内容となっています。
プロセスと分析ツールを解説するため社内で試行でき、また社内アイデア公募などにも応用できる
  内容となっています。

※詳細はパンフレットをご覧ください。

第62回 欲求の本質に迫る~「老人ホームで参加者が多いイベントは」

 今回は、私もよく知る有料老人ホームについて書いてみます。
この老人ホームは入居者の平均年齢が90歳を越えており、毎年平均年齢が1歳ずつ上がっていくという優良老人ホームとなっています。

 ここの施設の特徴は、なんと言っても入居者が参加するイベントが多いことです。“毎日がイベント”というほど、楽しい施設となっています。春先のお花見は当然のこと、にぎり寿司をにぎる会、ヨモギ採りの会などの他、全国から集まるコスプレイベントでは桃太郎に出てくるキャラクターのコスプレで参加し、なんと優勝してしまうなど(翌年は準優勝)、スタッフも入居者もイベントには非常に前向きな施設となっています。

 このような施設なので、フレイル(日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty(虚弱)」の日本語訳。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のこと)にならないための取り組みも行っています。

 そのような取り組みによって分かったことがあるそうです。それは「運動しよう」というと参加者が少なく、「旨いものつくろう」というとみんな集まり、せっせと働くそうです。
 食に対する欲かと思ったところ「リネン交換」も張り切って手伝ってくれるそうです。そして「みんなで歌いながらやると楽しいね」、「少しでも役に立てて楽しいよ」と言うのです。
すなわち、自分が楽しむより、人の役に立てることの方が強い欲求があり、それが満たされる方が楽しく感じるということです。

 その後は、みんなのために働く入居者が増えてきて、スタッフ側はみんなのために働くとポイントがチャージされ、ポイントが貯まると「至福の時間がゲットできる」という制度を提案したそうです。すると、みなさんのやる気スイッチが入り、5月だったので、その日に内に「明日はごみゼロ散歩に行こう」という号令をかける人が現れ、私は「春菊を育てる」、俺は「かぶを植える」というような人も出てきたそうです。

ただし、かぶの種は秋にまくのですが。

第61回 欲求の本質に迫る~「昭和の名曲“天城越え”の制作の狙い」

前回は、昭和の歌を題材としましたが、昭和レトロのブームもあり今回もある昭和の名曲について書いてみます。

昭和の名曲のひとつに石川さゆりさんの「天城越え」があります。1985年にリリースされた演歌に分類される歌です。この歌は作詞を吉岡治氏、作曲を弦哲也氏、編曲を桜庭伸幸氏が手がけました。

実は、この歌の制作に当たって狙いとしたことがユニークなのです。それは、「石川さゆりにしか歌えない、難易度の高い歌を」だったそうです。つまり、素人が歌うのは難しい曲を作ろうということです。

当時はカラオケがブームであり、カラオケで歌ってもらえる歌が売れる歌という方程式のようなものがありました。デュエット曲「3年目の浮気」、あるいは「勝手にしやがれ」などは好んで歌われており、楽曲を制作する側もカラオケで歌ってもらえることで売上を作ろうとしていました。ところが、このような背景がある中で、あえて素人がカラオケで歌えない歌を作ったのです。確かに「3年目の浮気」に比べると圧倒的に難しい歌です。

では、「天城越え」はカラオケで歌われなかったのでしょうか。実は、歌が上手い「歌うま自慢」の人達の闘争心に火がつき、非常に多くの回数歌われたのです。

歌うま自慢の人は、「あこがれの存在になりたい」という欲求の本質を歌で満たそうとするのですから、より難しい歌に挑戦するのは当然なのでしょう。

ちなみに、第一興商の通信カラオケ“DAM”がサービスを開始した1994年4月から2018年までのデータを集計したところ、「天城越え」は最も歌われた楽曲として演歌では首位、全楽曲の中でも4位となっています。

このように、制作側の意図とは全く反対の結果になりました。しかし、曲は大ヒットしました。

新規事業を検討する場合、売上規模や市場規模を先行して考える傾向にあると感じます。もちろん大事ですが、直接的に売上を狙うのではなく「顧客の本能をどう刺激するか」のようなことを検討した方が特徴も明確になり、売上も大きくなるのかもしれません。

「天城越え」という歌は、まだ色々な角度から考察できると思います。皆様も時間のある時に考察してみてはいかがでしょうか。

第60回 欲求の本質に迫る~「昭和歌謡の歌詞のスゴさを改めて感じる」

 昭和レトロがブームになっています。2020年にオープンした「渋谷横丁」をはじめ、ノスタルジーをモチーフにした施設が続々と建てられています。
また、アナログレコードやインスタントカメラといったレトログッズも改めて評価されており、昭和レトロの魅力を紹介するバラエティ番組も放送されています。
なお、1979年に発売された松原みきの名曲「真夜中のドア~STAY WITH ME~」は、昨年末にはSpotify「グローバル バイラルチャート」で15日連続世界1位を記録しており、世界的にも昭和の歌が注目されています。

ということで、今回は昭和の歌について気づいたことを書いてみます。
個人的に昭和の歌でインパクトを感じた曲のひとつに、山本リンダの「狙い撃ち」があります。この歌詞の「神がくれたこの美貌 無駄にしては罪になる 世界一の男だけ この手に触れてもかわない」の部分などは衝撃でした。
もうひとつ、山口百恵の「ひと夏の経験」の歌詞「あなたに 女の子の一番 大切なものをあげるわ」も衝撃的でした。
このような尖った曲は、自分で作り、自分で歌うシンガーソングライターでは絶対に書けないものと思います。たとえ、“自分は美貌の持ち主だ”と思っていたとしても、「神がくれたこの美貌」とは歌えないでしょう。
すなわち、これらの尖った曲は作詞家、作曲家と歌手が各々の能力を発揮すると共に多くの知恵を出し合い、その能力と知恵の組み合わせがあって初めて完成されたものと思われます。
もしかすると、新規事業も1社単独では尖ったテーマの開発は難しいのかもしれません。
2社から3社程度の企業が能力と知恵を真剣に出し合った方が、尖ったテーマが生まれるように思えます。現代のように業際があいまいな時代では、オープン過ぎないイノベーションが有効なのかもしれません。

第59回 欲求の本質に迫る~「自治会の広報誌を担当して大クレームを浴びた」

 私事ですが、昨年度地元の自治会の役員になり広報誌の作成を担当しました。その広報誌の内容にて大クレームを浴びてしまいました。コロナ禍の中、このクレームは心をさらに落ち込ませたのですが、今回は、この大クレームをきっかけに考えたことを書いてみます。

 自治会の広報誌を担当したのですが、少し楽しい誌面にしようと考え「あなたも校閲部員」というクイズを入れました。意図的に漢字を間違え、その漢字を当ててもらう という単純なものです。「回答は来月号に掲載します」と案内したのですが、その案内文の“回答”が間違えで“解答”が正解というような感じです。
すると翌月に会員に方から、笑点で「あなたは18歳、それとも81歳」というテーマの大喜利が面白かったから広報誌に載せてはどうかと提案がありました。そして、以下のような内容を10個程度載せました。

「まだ何も知らないのが18歳、もう何も覚えていないのが81歳」
「髪の乱れが気になるのが18歳、脈の乱れが気になるのが81歳」
「道路を暴走するのが18歳、逆走するのが81歳」

“もしかすると不快に思う人がいるかもしれないな”とも考えたのですが、せっかくのご提案なので載せました。すると、悪い予感が当たってしまい無記名の大クレームの手紙が届きました。

「私には認知症の親がおり、とても笑えるものではない。自治会の広報誌に載せるとは何事か」

のような内容です。面白かったと言ってくれた人もいたのですが、やはり広報誌としては適切ではなかったと反省をした次第です。
ただし、このクレームをきっかけに、盛り上がりに欠く自治会活動というものを少しまじめに考えたくなりました。すなわち、「自治会活動とは何か?」という自問自答です。
「自治会活動とは何か?」のような抽象的な疑問は、直接的に考えることは難しいので一般的なボランティア活動との違いから考えてみました。
自治会活動も無料奉仕という点ではボランティア活動と言えると思いますが、一般的なボランティア活動とはどうも違うように感じます。では、どこが違うのか。一番の違いは感謝とやりがいにあるのではないかと考えます。
一般的なボランティア活動は、支援を受けた側は心から感謝します。そして、ボランティア側は感謝されることで幸せ感を感じます。この幸せ感はオキシトシンというホルモンが分泌されことから生じる感情であり、科学的にも証明されています。
一方、自治会活動は役員をやっても感謝されることはほとんどありません。反対に、クレームや批判は多く受けます(今回のようなクレーム)。当然、オキシトシンは分泌されないので幸せ感も感じません。ここに大きな違いがあるように感じます。
次に、子供会と比較して考えてみました。
子供会は、「子供達に楽しんでもらいたい、いい思い出をつくって欲しいという思いを持って行う活動」と捉えることができます。とても分かりやすく感じます。何故なら、サービスを提供する対象が明確(子供)であり、かつ目的も明確であるためです。

このように考えてみると、自治会活動は、「誰のため」という対象者が曖昧です。また目的も曖昧であることに気づきました。すなわち、盛り上がりに欠く根本の原因には、「サービスを提供する対象者と目的が曖昧である」があるのではないかという仮説が浮かび上がってきたのです。
自治会活動においても、目的の絞り込みからスタートする「目的指向アプローチ」の考え方が必要であると結論づけ、自己満足した次第です。