第60回 欲求の本質に迫る~「昭和歌謡の歌詞のスゴさを改めて感じる」

 昭和レトロがブームになっています。2020年にオープンした「渋谷横丁」をはじめ、ノスタルジーをモチーフにした施設が続々と建てられています。
また、アナログレコードやインスタントカメラといったレトログッズも改めて評価されており、昭和レトロの魅力を紹介するバラエティ番組も放送されています。
なお、1979年に発売された松原みきの名曲「真夜中のドア~STAY WITH ME~」は、昨年末にはSpotify「グローバル バイラルチャート」で15日連続世界1位を記録しており、世界的にも昭和の歌が注目されています。

ということで、今回は昭和の歌について気づいたことを書いてみます。
個人的に昭和の歌でインパクトを感じた曲のひとつに、山本リンダの「狙い撃ち」があります。この歌詞の「神がくれたこの美貌 無駄にしては罪になる 世界一の男だけ この手に触れてもかわない」の部分などは衝撃でした。
もうひとつ、山口百恵の「ひと夏の経験」の歌詞「あなたに 女の子の一番 大切なものをあげるわ」も衝撃的でした。
このような尖った曲は、自分で作り、自分で歌うシンガーソングライターでは絶対に書けないものと思います。たとえ、“自分は美貌の持ち主だ”と思っていたとしても、「神がくれたこの美貌」とは歌えないでしょう。
すなわち、これらの尖った曲は作詞家、作曲家と歌手が各々の能力を発揮すると共に多くの知恵を出し合い、その能力と知恵の組み合わせがあって初めて完成されたものと思われます。
もしかすると、新規事業も1社単独では尖ったテーマの開発は難しいのかもしれません。
2社から3社程度の企業が能力と知恵を真剣に出し合った方が、尖ったテーマが生まれるように思えます。現代のように業際があいまいな時代では、オープン過ぎないイノベーションが有効なのかもしれません。