第45回(2017.09.05)  「何故人は芸術に魅かれるのか」

 芸術には、様々なものがあります。絵画、俳句、短歌、クラシックバレエ、音楽、彫刻など多種あります。これら多くの芸術は、長い期間生き続けており、工業品のようなプロダクト・ライフサイクルという法則は当てはまらないようです。

ところで、芸術というものは、どのようにして生まれたのでしょうか。どこまで本当かは分かりませんが、私が聞いたことをここでは書いてみます。

 時間は、常に流れています。そして、時間の流れに連れ、自然界は常に変化しています。すなわち、同じ一瞬は二度と訪れないということです。どうも、このことが芸術と関係しているようです。

たとえば、ご来光を拝めるために富士山に登り、天候も良く見事なご来光を拝めることができたとします。その時、人は写真を撮りますが、その理由は「この素晴らしい一瞬を残しておきたい」という欲求から、そのような行動をしていると思われます。

 実は、人には「二度と出会うことのないこの“一瞬”を残しておきたい」という本質的欲求があり、この欲求を満たすために生まれた芸術が絵画というものだということです。絵画は絵に残すのですが、それを言葉で残したものが俳句や短歌ということになります。

すなわち、芸術は人間の欲求の本質に沿ったものであり、そのために生き続けているのではないかと推察されます。

 そのように考えると、人が写真を撮りたがるという行動も、とても理解しやすくなります。

なお、先月、青森県の十和田市現代美術館に行って来ました。そこには、巨大な人物像やフラワーホース(花でつくった馬の像)があり、とても楽しみました。また、有名は“田んぼアート”も見て来ました。これらの芸術は、“一瞬を残しておきたい”という欲求とは異なるものと思われます。このことについての欲求の本質については、別の機会で述べてみたいと思います。