第40回(2014.02.03)  「STAP細胞の発見の背景にある非常識への挑戦」

 STAP細胞発見のニュースがメディアに大きく取り上げられています。今回は、旬な話題ということで、この件について考察してみたいと思います。

 小保方さんをリーダーとする研究ユニットが発見したSTAP細胞を、連日マスメディアは報道していますが、この件は、マスメディアが飛びつく多くの要素を持っていると感じます。

 研究の成果の素晴らしさや実用性、将来性はもちろんのこと、リケジョ、かわいい、祖母からもらった“かっぽう着”、指輪のブランド、幸運を呼ぶペットの亀、苦難の連続、粘り強さ、支援者の存在など、魅力ある要素が満載状態となっています。

 私は、商品やサービスの価値を基本価値(基本機能)と付加価値(付加機能)に分けて考察しますが、STAP細胞は、研究成果の実用性、将来性という機能価値に加え、リケジョや幸運を呼ぶペット亀など、たくさんの付加価値があります。

すなわち、優れた基本価値に加え、魅力ある付加価値も多くあり、そのためコンテンツとしては大変優れたものになっているということであり、このことが、メディアが着目する大きな理由のひとつではないかと思っています。

さて、この偉大な発見ですが、私が注目したことは「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄していると酷評された」ということと、その愚弄にも関わらず、それまでの細胞学の常識に逆らった研究を続け、大きな発見に結びつけたということです。

やはり、イノベーションの大きな障壁のひとつは、常識や通説という頭にこびりついた基礎知識にあるのではないかと改めて感じてしまいました。

 弊社では、この度「“90%が賛成するテーマは成功しない”という現実を変える研究

 「~新規事業のテーマ評価を変革する検討会~」という検討会を開催しますが、この会の最大のテーマが“常識、通説”を見直すということです。

 一般に、新規事業のテーマを評価する場合、市場の規模が大きく、成長性が高いテーマが魅力あるものと判定されます。しかし、世の中にない新しいカテゴリー商品が提案された場合、市場規模も成長性も評価できず、小さなパニック状態に陥ります。

このようなケースも、市場規模と成長性という項目で判断するという常識に囚われていると恐らく永遠に解決できません。

 一度信じた常識、通説を疑うことには大きな抵抗感があります。何故なら、過去の考えや行動を否定したくないという保身欲求があるためです。しかし、“社会に役立ちたい”、“人のためになることをしたい”という欲求は、保身欲求より強いものなのかもしれません。そのため、人はイノベーションを起こし続けているのかもしれません。

なお、上記検討会にご興味のある方は、ご連絡をいただければ幸いです。