第35回(2012.06.16)  「駆け落ち」って死語になった?

 最近、「駆け落ちして結婚した」という例を聞かなくなったような気がします。それに比べて「できちゃった婚」はとても増えています。

 「駆け落ち婚」が減少しているとすると、その原因はどこにあるのでしょうか。今回は、この「駆け落ち婚」についてDeep Thinkingしたいと思います。

 合コンは、何十年も前から行なわれていましたが、その内容は少しずつ変化してきています。特に、最近の大きな変化は、本人の合コンではなく親同士の合コンが増えているということです。これは、親が新しい出会いを見つけるという怪しげなものではなく、自分の子供のために親同士が合コンするというものです。

では、親同士の合コンで何が話し合われているのでしょうか。子供の好みのタイプの情報を交換し合うのでしょうか。それとも、占いによる相性診断の結果を持ち寄るのでしょうか。いずれも、ちょっと違うようです。それは、どうも実家の事情に適合する相手を探すための情報交換がなされているようです。

たとえば、「ウチの主人は開業医なのですが、跡取りになる息子がいなくて困っています」という希望を持つ人に対しては、「大学病院に勤めている次男」を持つ親が候補に挙がり、そこで親同士が話し合いを行ないます。

あるいは、一人娘しかいない本家の家では、「本家に養子を迎えたい」という希望を持ち、その条件を満たす人が候補に挙がり親同士が話し合いを行なうことになります。

なお、親同士の話し合いは、双方の条件だけでなく、二人が住む家のこと、結婚の費用のこと、お墓の世話のことなど、家同士に関することはほとんど話し合いが行なわれ、当人同士が会う段階では、家同士に関することは、ほとんど決まった状態になっているようです。このような経過を経てお見合いしたカップルの成婚率は、非常の高いそうです。

 成婚率が高いことから考えても、確かに親同士の合コンは合理的かもしれません。結婚にあたっての障害になりそうなことを事前に整理している訳ですから。

しかし、ここで成婚率においてもうひとつ重要な要素は、子供が素直に親の勧めに従って結婚をするということです。「親が決めた相手などと、結婚なんかしない」という若者が減ってきているということなのでしょうか。

 このように考えた時に浮かんだことは、「最近、“駆け落ち”という言葉を聞かないなあ」ということです。「親の反対を押し切り、生活用品も資金もほとんど持たずに、家出同然で愛に走る」という激情型の恋愛や結婚は減って来ているのでしょうか。

 このような現象にも、世の中の経済事情が影響しているのかもしれません。