第28回(2009.07.01) ラブホテルに集まる男集団

 今回は、「ラブホテルの集まる男集団」という珍現象について考えてみたいと思います。
ついつい、怪しげで、一歩間違えれば犯罪ネタではないか、と想像してしまいがちですが、決して不健全な話ではありません。その背景には、欲求を満たそうとする行動があります。

さて、では、どのようなホテルにどんな男達が集まってくるのでしょうか。

まず、どのようなホテルかということですが、プール付きの部屋があるホテルに集まって来るのです。すなわち、プール付きの部屋を目指して集まってくるということです。次にどんな男達が集まって来るかということですが、それは、ラジコン潜水艦のマニアが集っているのです。

ラジコン潜水艦を動かすには、当然、水が必要となりますが、単に水があるだけはダメで、潜行や浮上といった独特のアクションを楽しみたいという欲求があります。そのためには、その様子が横から見えることが必要であり、ラブホテルのプールは側面がアクリルでできているため、この願いを叶えてくれるのです。ラブホテル側は、本来違った狙いからアクリルを使ったのでしょうが(どんな狙い?)、何とそれが、ラジコン潜水艦マニアの目的にも合致していたのです。潜行、浮上の様子を写真やムービーで撮影することができる極めて限られた場所ということで、この部屋に男達が予約をして10人程度で泊まり込むのです。

「ビジネスレイヤー別新規事業開発実践ガイド」にも書きましたが、人は欲求を満たすための最適な手段を選ぶという単純な法則があります。たとえ、本来の目的が違っていたとしても最も適したものを探求していくのです。
マンガ喫茶やインターネットカフェも、本来の目的とは異なる目的で利用し始めたことにより、内容が大きく進化してきています。元々は調味料の乾燥容器としてつくったものが、多くはカメラレンズの乾燥用に使われたと聞きます。

人は、本来の目的は違っていても、自身の欲求を満たす最適な道具(商品)やサービスを探して利用していくものです。このような現象の発見から、新商品や新規事業は生まれるかもしれません。


欲求の本質からそれを満たす最適な道具を考えてみる、単純ですが、有効な方法なのではないでしょうか。