タバコを吸う人のための健康茶が昨年発売されました。これは、タバコを吸う人の旨味茶というキャッチフレーズのもので、愛煙家の人が一息つく時に飲んでもらおうとするものです。
なお、細かい仕様は省きますが、340mlのペットボトルに入り、また、体内のニコチンを無害化して排出を促す機能を持つ成分も含んでいます。
さて、私はタバコを吸わないのですが、このお茶をたくさん飲みました。何故なら、近所に飲料関係の卸問屋に勤めている方がいるのですが、その方から賞味期限が迫ったものを大量にいただいたためです。すなわち、売れ残ったものをいただいたということです。
ところが、飲んでみるとかなり美味しく、私だけでなく家族も美味しいと言って毎日飲んでいました。 それにしても、この美味しいお茶は何故売れなかったのでしょうか。
正解は定かではありませんが、今回は、このことについて考えてみたいと思います。
タバコを吸う人のためのお茶ということで、タバコを吸う人の立場に立って考えてみたくなりますが、あえて、タバコを吸わない人の立場から考えてみたいと思います。
第一印象として、タバコを吸わない人はどのように感じるでしょうか。
タバコを吸う人のためのお茶なため、直感的に「自分の飲み物ではない」と、先ずは感じると思われます。と同時に、「あまり美味しくなさそう」と感じるのではないでしょうか。
実は、私も最初に口にする時は、ちょっと不安でした。そして、家族も皆、最初は不安げに口にしました。ところが、飲んでみると意外に美味しかったという状況です。
上記事柄が、タバコを吸わない人の一般的な印象であると仮定してみます。では、次に、タバコを吸う人の立場に立って考えてみます。
タバコを吸う人のためのお茶ですから、先ずは自分も対象となるのだなと感じると思われます。これは、タバコを吸わない人と違う所です。
では、“美味しさ”についての直感的な印象はどうでしょうか。タバコを吸う人ならば、直感的に「美味しいと感じる」、とは考えにくいと思われます。やはり吸わない人と同様、「あまり美味しくなさそう」と感じるのではないでしょうか。すなわち、美味しさについての印象は、タバコを吸う人も吸わない人も変わらないということです。
体内のニコチンを無害化して排出するという機能も魅力的ではありますが、手軽に飲めるお茶に対して本質的に求めるものは何でしょうか。それは、タバコを吸う人も吸わない人も同じかもしれません。
たまには、ターゲットでない人の立場に立って考えてみることも有効かもしれません。