第1回(2004.07.02) 「トリビアの泉の不思議 その1」

 同じ人間でありながら、人は他人の欲求をつかみきれないものです。しかし、新商品や新規事業開発を行っていく以上、欲求の本質を考察する場面は必ず出てきます。すなわち、欲求の本質に迫ることは、避けては通れない道と言えます。

 今回より、新シリーズとして「欲求の本質に迫る」と題して、人間の欲求の本質に近づくお話をしていきたいと思います。

 第1回は、「トリビアの泉の不思議その1」です。

 フジテレビのバラエティ番組である「トリビアの泉」が大変人気を博しています。この番組は、日常生活にはほとんど役に立たない“ムダ”な情報を提供し、その情報に対して、出演者が意外さや驚きの度合い(へぇ~と思う度合い)の点数をつけるという番組です。

 この番組で取り上げられる情報は、たとえば次のようなものです。

「嫌な奴と嫌な奴がいると、皆殺しになる」とは、どういうことでしょう。

正解は、「いやなやつ(18782)+いやなやつ(18782)=みなごろし(37564)です。」

というようなものです。

 この正解を聞いた出演者は、「あ~、なるほど」と一種の感心をし、驚きの度合いに応じた回数の“へぇ~ボタン”を押すという具合です。

 あるいは、ブルース・リーが主演し大ヒットした「燃えよドラゴン」という映画がありますが、この映画の中でバックに使われている音楽は、大変闘争心がかき立てられるリズムに、「アチョ~」という叫び声が乗ったものです。決して歌とは言えない音楽です。

 ところが、カラオケの曲にこれと似たような、歌詞のない叫び声だけで歌う?曲があるといういうのです。そして、実際にその曲を聞いた出演者は、勢いよく“へぇ~ボタン”を押すという具合です。

 一般に、情報番組と言えば、いかに生活に役に立つ情報を提供するかが大切と思われ、各局共、役に立つ情報を懸命に集めています。ところが、現実には役に立たない情報を提供している番組の方が人気があるのです。

 さて、この事実は、どのように分析できるでしょうか。事実を通じて、欲求の本質に近づいていきたいと思います。

 この続きは次回に。