第57回 欲求の本質に迫る「マスクの目的が分からなくなってきた」

 新型コロナウイルスの影響でマスクが日常化しています。今回は、このマスクについて振り返りつつ考察してみます。
 新型コロナウイルスの感染拡大が報じられた初期の頃(3月頃)には、「マスクは使い捨てしないとダメ」と言われていました。しかも、マスクの外側はウイルスが付着しているため、手で触った場合は手を消毒した方がいいとも言われていました。
一方では、洗えて繰り返し使えることから「布マスク」が見直される動きが出てきました。そして、布マスクが見直されてからは、様々な特徴を持つマスクが登場してきました。着けると冷やり感のあるマスク、着け心地のいいシルクのマスク、運動中でも呼吸のしやすいマスクなども商品化され多種多様になっています。


スポーツジムも営業を再開しましたが、マスクの着用が義務づけられています。私も運動不足の解消を目的に、不織布マスクを着用してジムで運動をしました。ランニングマシンを使っていた際、当然汗をかいたのですがマスクが汗でびっしょりとなり、口と鼻に貼り付き呼吸ができなくなってしまいました。このままでは死んでしまうと思い、ランニングマシンから降りました。ところが、しばらくすると汗で濡れたマスクが冷えてきて、これがとても気持ち悪くなってきたのです。耐えきれず、運動を止めて家に帰りました。


この経験からスポーツ用のマスクが欲しくなりネットで探した所、顔に貼り付かないワイヤー入りのマスクを発見し入手しました。しかし、そのマスクの説明書には「ウイルスに対する検査は行っていません」と記載されていたのです。
これを読んで浮かんだ疑問は、「マスクって何のために着けるのだ?」です。
周りを見渡すと手作りのマスクをしている人は多く、「ユザワヤで買ったかわいい生地で作ったの」と言って、無料で配っている人もいます。当然、ウイルスや飛沫に対する検査はしていません。


猛暑の夏が訪れると、「熱中症予防のため、人との距離が確保されている所ではマスクを外しましょう」とメディアで言い始めました。すなわち、「着けたり外したりしましょう」と言っている訳です。3月頃は、「一度外したマスクは捨てましょう。そして、マスクを触ったら手を消毒しましょう」という話はどこへ行ってしまったのでしょうか。
先日、暑くても蒸れないマスクはないかと思いつつスポーツジムへ行くと「速乾メッシュマスク」が売られており、購入しました。これは呼吸が楽であり、かざすとマスク越しに景色が見えるくらいのメッシュです。運動には適しています。
夏は麻がいいと思い「麻のマスクはないかな」と話をしたら、何と麻のマスクを作っている人がいました。最近は、麻のマスクと速乾メッシュマスクで過ごしています。


このような現象を振り返ると、本当に人が恐れているのはウイルスではなく、人間であることがよく分かります。