第23回(2008.04.16) 「男の単純さ その2」

前回は、理容院やコンビニを例に採り、男の単純さについて書きました。今回は、企業の中にある男の単純さについて話をしてみます。

どこの企業も新人が入ってくると、多少なりとも、話題がその新人に及ぶものです。特に、かわいい女性が入って来ると、男性達は、少なからず気にするものです、これは、本能とも言うべきもので仕方のないことです。

さて、こんな話があります。

新人のかわいい女性が、工場に入って来ました。工場内は、にわかに活気づいてきたのですが、そのことを立証するかのようなことが起きました。それは、工場の歩留まり率が向上したのです。

良い職場であることを示したいと思ったのか、かっこいい所を見せたいと思ったのか、深層心理は量りかねますが、いずれにしても、工場内が活気づき、その結果として工場の歩留まり率が向上するという現象が起きたのです。

その後、その女性は、知財部門へと異動になりました。ところが、今度は、特許の出願件数が多くなるという現象が起きたのです。

 何故、特許の出願件数が増えたのでしょうか。恐らく、それは、次のような理由と思われます。

 かわいい女性が知財部門に入ったため、まずは、「何とかして、その女性と話がしたい、コミュニケーションが取りたい」という欲求が芽生えます。そして、次に、「では、どうしたらいいのか」と手段を考え始めることになります。

何の用事もないのに、社内で話しかけることには、さすがに抵抗があります。そのため、「業務に関連することで話をするのなら、周りに対しても、また、自分に対しても言い訳が立ちやすい」と考え、出てきた答えが、「特許を出願する」ということです。すなわち、特許を出願するための相談や手続きのために、知財部門を訪れ、コミュニケーションを取ろうと考えた訳です。そうなれば、当然、特許の出願件数が増えていくことになります。

私も以前、別の会社にいた頃、アルバイトの女性と話しをするために、一生懸命、アルバイトの女性にお願いする仕事を考え、つくり出していました。考え出すことに時間を費やしていました。本末転倒もはなはだしいのですが、しかし、活性化していたことは事実です。

確かに、その時間は、論理的に考えれば無駄です。しかし、感情の動物である人間がやることでは、決して無駄にならないことも実は多いのではないでしょうか。

かなり有名な話ですが、社内恋愛を奨励して、業績を大きく高めた食品メーカーがあります。好きな人が会社にいれば、いいところを見せようとして、特に男は、単純に一生懸命になるのです。

もしかすると、金銭的な飛びぬけた報酬より、いいところを見せたいという欲求の方が、人間のとっては、より原点的なモチベーションなのかもしれません。飛びぬけた報酬も、モチベーションを高めるひとつの手段ですが、報酬をもらった後は低下してしまう、一度だけのモチベーションかもしれません。もちろん、国による違いはあるかもしれませんが。