第13回(2007.07.11) 「怪しげな健康セミナー」の共通点その2

 さて、前回は、「怪しげな健康セミナー」の共通点その1として、次のような話をしました。

・長寿国であることにはほとんど触れずに、健康の危機感をあおる話が多い
・消費者は、セミナーを通じて、高価な健康食品や商品を購入している
・しかし、高価な商品を購入する背景には、購入に至るプロセスに価値を感じ、このことに対してお金を払っているのではないか

 では、前回の確認はこの位にして、ここで、企業内で行なう新規事業開発に視点を移してみたいと思います。

 新規事業開発の企画段階においては、自分の企画を通すために、如何にその企画が良いものであるかを訴えることになります。そして、そのために、企画の良さを後押しするような情報のみを集め、考察することがよく行なわれています。どちらかと言えば、結論が決まっていて、後付の論理にて結論を補完するということです。

このように考えると、危機感という側面だけの話しをする「怪しげな健康セミナー」に似た所があるかもしれません。

怪しげな健康セミナーでは、結果的に商品を販売することが多い訳ですが、新規事業の場合は、事業プランという成果物を見て、プレゼンを聞いて、意思決定という結論を出していくことになります。

ところで、意思決定にあたっては、事業プランという成果物だけを判断材料にするのでしょうか。答えはノーです。すなわち、事業プランだけではなく、そこに至るプロセスも大きな判断材料にしていると思われます。

意思決定をする側は、怪しげな健康セミナーの参加者同様、プロセスにも価値があると思っているのでしょう。

本当に、「必ず成功する」と信じてプランニングをしているのか、「企画が通らないと仕事をしたことにならないから困るけど、通ったら通ったで、これも困る」というような気持ちでプランニングをしているのかなどを、プロセスを通じて見極めるというような要素もあるのではないでしょうか。

新規事業開発においては、結果の予測がつかないだけに、むしろ、プロセスが大切なのではないでしょうか。