第3回(2005.01.11) 「冬ソナの人気の原点 その1」

 韓国のドラマが、大変な人気となっています。書店の雑誌売り場には、韓国ドラマの専門コーナーができており、また、レンタルビデオ店でも韓国コーナーがあります。しかも、TSUTAYAでは、通常、新作以外は7泊8日の貸出しですが、韓国ドラマに限っては、3泊4日の貸出し期間となっています。それだけ、回転が早いということでしょう。

 韓国ドラマの人気のきっかけになったのは、昨年末にもノーカット版が放映された「冬のソナタ」と思われます。「冬ソナツアー」が登場する、あるいは、韓国で撮影されたドラマにも関わらず、岐阜県各務原市に「冬ソナストリート」ができるなど、訳の分からない現象が起きるほどの熱が今でも続いています(どうも、ドラマの名場面を再現した並木道をつくったようです。ここにも、多くのファンが行き、ヨン様をネタにおしゃべりをし、笑い、そして、楽しむのでしょう)。

 ところで、冬ソナの顧客層の中心は、50歳以上の女性だそうです。この層の人達の心を、何故これほどまでに惹きつけたのでしょうか。私も、このドラマを見たので私なりの考察をしてみたいと思います。

 まず、このドラマのテーマは初恋です。そして、「初恋を届けにきました」が、このドラマのコンセプトとなっています。初恋は、定番とも言えるニーズですから、テーマそのものが人気の要因のひとつであることは間違いことと思います。

 しかし、それだけでは、どうもないようです。私が見て感じたのは、ドラマの時代背景が、30年、40年前の日本に近い感覚をおぼえるということです。すなわち、そこには、現代風の初恋があるのではなく、自分が過ごした青春時代の初恋があるのです。東京ラブストーリーでは感じられなかった青春時代の初恋があるようです。そして、このドラマを見て「リアルなノスタルジーに浸る」という作業が心の中で行われているように感じます。

 写真の整理をしていると、整理することより、ついつい写真から連想する過去の思い出に浸ってしまい、ほとんど整理が進まなかったということは多くの人が経験していると思います。

 “ノスタルジーに浸りたい”というのは、どうも人間の持つ本質的欲求のひとつのようです。

 なお、冬ソナ人気の要因は、これだけではないようです。更なる考察は、次回に回したいと思います。