第2回 新規事業のテーマ探しって何をすればいいの?(1)

第2回 新規事業のテーマ探しって何をすればいいの?(1)

「新規事業のテーマ探しとは何をすることか」とは何をすることか」と問われたら、「顧客の特定のセグメントのニーズを発掘し、そのニーズを満たす商品・サービスを考えると共に、売り方を考えていくこと」と答えます。すなわち、「顧客」、「商品・サービス」、「売り方」の組み合わせを見つけることが、新規事業のテーマ探しということです。少し言い方を変えると「“誰に”、“何を”、“どのように”の組み合わせを見つけていくこと」になります。

なお、私は「顧客」、「商品・サービス」、「売り方」を“事業の基本3要素”と呼んでいます。では、この事業の基本3要素の組み合わせはどのようにつくられていくのでしょうか。その流れを、ユニークなコーヒーショップの例で分かりやすく説明してみます。

コーヒーを煎れることが得意であり、この知識と技術を利用して商売ができないかと考えた人がいました(以後、コーヒー職人A氏と呼びます)。コーヒー職人A氏が住んでいる近所は、飲食店がたくさん並ぶ繁華街がありましたが、A氏はある時、次のことを知りました。

「お酒を飲んだ締めにお茶漬けを食べるが、さらにその後にコーヒーを飲みたいという人がいる」。すなわち、繁華街には「お酒を飲んだ後の締めにコーヒーを飲みたい」という潜在ユーザーが意外に多いことに気づいたのです。

おいしいコーヒーは煎れることに自信があったA氏は、「お酒を飲んだ後の締めのコーヒー」を売ろうと考えたのです。しかし、ここでちょっとした不安が出てきました。それは、自分のおいしいコーヒーを“どのように売るか”ということについてはアイデアがなかったことです。

普通に考えれば店舗をつくるということになるのですが、店舗つくった場合「酔った人達なのでわざわざ遠回りしてまで来店してくれるのか」、「そもそも出店する資金がない」などの不安がよぎり、なかなか良いアイデアが浮かびません。

では、どうしたか。コーヒー職人A氏は、「それならば、こちらから飲食店に出向いて販売しよう」と考え、“流しのコーヒー屋”というスタイルで販売することにしたのです。そして、実際に居酒屋や小料理店に飛び込み、コーヒーを販売していったのです。この流しのコーヒー販売は次第に常連さんが増え、飛び込み販売するだけでなく顧客からお呼びがかかるようになり、これにより受注の効率は格段に高くなっていったでした。

この事例は、規模は小さいですが新しい事業には変わりはありません。

この流しのコーヒー屋の事業は、事業の基本3要素で整理すると次のようです。

・顧客:お酒を飲んだ後の締めとしてコーヒーを飲みたい人

・商品・サービス:挽き立てに近いこだわりのコーヒー

・売り方:訪問型の流しの販売スタイル

この事業は、上記3つの要素の組み合わせでできていることが理解できます。